一般社団法人学ぶ会 一般社団法人子どもと学ぶ歴史教科書の会  
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1935年 東京深川に生まれる
1941年 国民学校入学 
1945年 東京大空襲で実家は焼かれる(本人は縁故疎開中)
1947年 新制中学入学(『新しい憲法のはなし』に共感)
1950年 兵庫県立柏原高校(商業科)入学
1953年 文部省図書館職員養成所入学
1955年 東京大学教育学部図書館勤務
1956年 法政大学法学部(夜間部)入学。安井郁、石母田正に学ぶ。サークルでは中国現代史を学ぶ。
1960年 法政大学法学部卒業。
〈第1期〉1962~69年 — 歴史の発展法則を伝えるための教材研究と地域の掘り起こし

1962.9 千葉県印旛郡印西中で教員になる。

私は最初のころ、歴史の発展法則を、事実をあげながら一所懸命しゃべり、板書して子どもにノートをとらせた。子どもも、初めは新任の先生への期待があったのか、きちんと授業をうけていた。ところが、一か月もたたないうちに、私が教室に行くと、『なんだ、また社会科か、あーあ』などといいだす始末で、授業も騒がしくなってきた。(『子どもと学ぶ歴史の授業』まえがき)

1965   第16次千葉教研でレポート「主体的・集団的な歴史学習をめざして」
1967.4 柏二中に転勤。
1969.10 「北総開拓農民の歴史」(『歴史地理教育』160)

 
〈第2期〉1970~77年 — 「子どもの認識のすじ道」という課題の発見
1970.4  松戸一中 坂川の掘りおこし。松戸歴教協結成。
1972.2  「松戸農民の歴史」(『歴史地理教育』193)
1972.4  「なぜ地域の歴史をほり起こし実践するのか」(『歴史地理教育』195)
1973.5  「原始古代史の実践」(『歴史地理教育』211)
1976.8,9 「戦争体験から学ぶもの-15年戦争の授業」(『歴史地理教育』253、254)
     *父母の戦争体験の聞きとりによって「生徒側の切実性が引き出せる」
1977.8  ① 『子どもと学ぶ歴史の授業』(地歴社)
私が教えようと思うことを、子どもはそのまま受けとめない。全く別の角度から眺めていることが多い。だから、そのような子どもの認識のしかたとかみあわないと、私の歴史教育は子どもの上を素通りするだけで、ひとつも子どもの力にならない。

  ①『子どもと学ぶ歴史の授業』
(地歴社)
〈第3期〉1978~88年 — 「共感」を起点に子どもの追求を生み出す授業づくり
1978.4 松戸市立根木内中(~1989)
1980.4,5 「子どもが動く社会科が提起するもの」(『歴史地理教育』305,306)
A.感じたことをそのままぶつける(子どもにとっての入りやすさ)→B.教材の中に入りこんでくる。身をのり出してくる(感じたことをぶつけることが教材と子どもを一体化する)→C.ひとごとでなく、切実な問題として考え始める(教材の主体的なうけとめ)子どもの認識はこのようなスジ道をたどる。(中略)これは社会科の授業の原点ではないか。

1980.12 「子どもが動く社会科-三・一独立運動の授業」(『歴史地理教育』315)
     安井-岩田論争(岩田健「“動く社会科”への疑問と私の授業」315)
1982.1  ② 『子どもが動く社会科』(地歴社)
1983   「『つまずき』をバネに」(大畑佳司編『いかにして教師になったか』
     (明治図書)
1983.8 「『自分の目』で歴史をとらえる-「スパルタクスの反乱」の授業」
     (大槻・臼井編『中学校社会科の新展開』あゆみ出版)
1983.12 「学びあいと子どもの主体形成-十五年戦争まとめの討論を中心に」
     (『歴史地理教育』360)
1985.2 ③ 『学びあう歴史の授業』(青木書店)
1985.3 「共感と科学的社会認識-ふたたびスパルタクスの反乱をめぐって」
     (『歴史地理教育』380)
     安井-土井正興論争(土井「スパルタクス蜂起で子どもに何を問うか」
     『歴史地理教育』445)
1986.4 ④ 『主権者を育てる公民の授業』(あゆみ出版)
1986.7 ⑤ 『発言をひきだす社会科の授業』(日本書籍)
1987.2,3 「スパルタクスの反乱をめぐる歴史教育と歴史学」
     (『歴史学研究』565~567)
1987   「秩父事件と日本近代史」
     (『子どもがたのしくわかる社会科』18、千葉県歴教協)
1988   「歴史と教育の発見」(『岩波講座・教育の方法別巻 教育の発見』)
1988   「世界と日本の歴史5 領主と農民」(大月書店)

  ②『子どもが動く社会科』
(地歴社)
  ③『学びあう歴史の授業』
(青木書店)
④『主権者を育てる公民の授業』
(あゆみ出版)
 

⑤『発言をひきだす
社会科の授業』
(日本書籍)

〈第4期〉1989~2000年 — 授業づくりの理論化と子どもの視点に立った近現代史の授業構想
1989.4 愛知大学教授
1989.8 「なぜ『あゝ野麦峠』を教材にするか-社会科授業づくりの構造」
     (『歴史地理教育』445)
社会科の授業づくりを論理的に整理すると
 Ⅰ 教育内容の設定→教材の選定→授業方法の工夫 (中略)授業づくりの「もう一つの道」を考えてもいいことになる。
 Ⅱ 教材の選定→授業方法の工夫→教育内容の設定

1990  ⑥ 『歴史の授業108時間 上下』(地歴社)
1990.12、1991.1 「自由民権運動と子どもの学力形成」
     (『歴史地理教育』465、467)
1991.3 共編著『ストップ方式による教材研究の1単元の授業 中学社会歴史』
     (日本書籍)
1993.3 共編著『新 歴史のとびら(授業の役に立つ話) 上下』(日本書籍)
1994.7 「子どもが動く社会科実践小史」(千葉県歴史教育者協議会編
     『子どもが主役になる社会科の授業』国土社)
1994.8 ⑦ 『社会科授業づくりの追求』(日本書籍)
1997.2 東大安田講堂で藤岡信勝らと歴史教育討論会
1997.6 日本近現代史教材・授業づくり研究会結成

その研究の柱は、「子ども論の視点に立つ」です。「子ども論の視点に立つ」とは、近現代史を学ぼうとする子どもの側からその教材・授業づくりを問いなおそうとするものです。

1998.8 ⑧ 『十五年戦争への道』(日本書籍)

学習者が主体的に生きる『現在』という地点に立った時、当時の状況の中では見えなかったものが見えてくる。

1998.8 ⑨ 安井編『子どもとつくる近現代史 第1集』(日本書籍)

その「現在」という地点に立つ主体が子どもであるとこを考えれば、教師が構想する教育内容や教材はそれを学ぶ子どもの側から問い直される位置にあるといえます。

 

  ⑥『歴史の授業108時間 上下』
(地歴社)
  ⑦『社会科授業づくりの追求』
(日本書籍)
  ⑧『十五年戦争への道』
(日本書籍)
 
〈第5期〉2001~2009年 — 戦争平和学習の再検討と「共感-共同」を軸とした学習論の提起

2003.1 「9・11テロ後の若者世代の“平和主義”-平和への主体形成の可能性」
     (『愛知大学一般教育論集』24)
2005.2 「共感の方法と戦争・平和学習の再検討-『新しい歴史教科書』の
     授業方法批判から」(『愛知大学文学論叢』131)
2005.2~10「戦争平和学習再検討の論点」を近現代授研ニュースレターに連載

私たちは、9・11テロ、アフガン戦争、イラク戦争など、テロと「反テロ戦争」による破壊・殺戮を直視せざるを得ない状況にいる。このような状況の中での平和学習をすすめるためには、授業者・学習者ともに、戦争という方法を乗り越え、非暴力の方法による解決のあり方を追求する課題を負うことになる。

2005.12 「戦争学習における共感と共同」(『歴史地理教育』693)

共感はこちら側の主体と向こう側の主体が触れ合い、こちら側が新たなものを得て、相手側との共同の意識をもつという歩みだ。

2008.4 ⑩ 『戦争と平和の学びかた-特攻隊からイラク戦争まで』(明石書店)
2008.6 ⑪ 『子どもの目でまなぶ近現代史』(地歴社)
2009.7 「歴史の授業をどのように見直してきたか-
     「子どもの側からの授業づくり」をめざして」(『歴史地理教育』747)

  ⑨『子どもとつくる近現代史』
(日本書籍)
  ⑩『戦争と平和の学びかた
-特攻隊からイラク戦争まで』
(明石書店)
〈第6期〉2010年〜 「学び舎」歴史教科書づくり

2010.8 「子どもと学ぶ歴史教科書の会」代表
2011.11 「子どもと学ぶ歴史教科書の会」安井俊夫・不破修氏に聞く
     -子どもの側からの歴史学習を、子どもの側からの教科書を
     聞き手:菅間正道」(『教育』790)
2014.7 「「子どもと学ぶ歴史教科書」をつくる-問いや疑問をいかに引き出すか」
     (『教育』822)
2015.8 「本土決戦体制の中の学童疎開-残留組・疎開組、それぞれのゆくえ」
     (『歴史地理教育』838)

*参考文献
「<インタビュー>安井俊夫-中等社会科実践の半世紀を語る」(『中等社会科実践研究』第2号、中等社会科実践研究会、2017年

  ⑪『子どもの目でまなぶ
近現代史(地歴社)